そもそも20代・30代で終活って必要なの?
皆さんに一つ質問です。20代、30代から終活って必要だと思いますか?
必要か必要でないかでいうとやっておいたほうがいいです。終活を始めるタイミングに遅いも早いも人それぞれですが、早いにこしたことはありません。
また皆さんよく勘違いされているのは「終活」イコール「相続、お墓の準備」という回答を頂きます。
実はこれ、半分だけ正解ですが、残りの半分が足りていません。
正解の残り半分は「人生(ライフプラン)の設計・過ごし方について考えること」です。
自分の人生をどう過ごしてどういった形で終わらせたいのかについて考えるとてもよい機会が終活です。
大半の人は考えませんが、例えば「糖尿病や脳梗塞など苦しんで最後を迎えたくない」と本気で思えば健康的な生活を今から送ろうと行動しますし、「孤独死したくない」と考えれば友人・知人を多く作っておくことも今からならできるでしょう。
といったように人生を逆算して考えることもまた一つの終活ですし、最も多い理由は「家族に迷惑をかけたくない」というのが終活を始める理由としては多いです。
そんなことを20代・30代から考える人いるの?って思うかもしれませんが意外と多いのが実情です。
20代で終活を始めている人は実は37%もいます
楽天リサーチのアンケートがとっても興味深いのでぜひ御覧ください。
参照:終活に関する調査
こちらは全国の20代から60代の男女1,000人を対象に行ったものです。
まず、そもそも終活という言葉を知っているかどうかという設問に対しては全体で約80%の方が「知っている」と回答しています。
では、知っている方が多いなかで「終活をする意向があるか」という設問に対しては世代別に傾向が異なります。
興味深いのは全世代の中で終活をする意向があると最も回答が多かったのは実は「30代」です。
30代では46%の方(約2人に1人)が終活をする意向があると回答しています。
また20代でも37.6%と約3人に1人くらいが終活をする意向があると回答しており40代の35.4%より多いのが驚きの結果でした。結論として若い世代の方が早期に終活を始めているということです。
皆さんもこのデータを見るまでは「終活なんて50代・60代とか定年手前にすればいいんでしょ?」と思っていませんでしたか?実は周りの20代・30代の方はもう終活を始めています。
「終活」をする理由は〇〇が約70%
ではなぜ20代・30代の若い世代が終活を既に始めているのでしょうか?
その理由のTOP3をお伝えすると「家族に迷惑をかけたくないから」「病気や怪我、介護生活で寝たきりになった場合に備えるため」「自分の人生の終わり方は自分で決めたいから」が主な理由としてあるようです。
全体として最も多く上がるのは「家族に迷惑をかけたくないから」で約75%の方がこの理由で終活を始めているようです。
また男女別でとても顕著だったのは20代・30代の女性で「自分の人生の終わり方は自分で決めたいから」という理由がいずれの世代も50%を占めておりました。
色々な考察がありますが、女性は出産・子育てなど男性に比べても多くのことを主体で考えている傾向にあるためご自身のライフプランを早めに考えているのではないでしょうか。
実際エンディングノートを書き始めるのも女性の方が男性と比べて早い傾向にあるようです。
これはとても良いことでもちろん40代~60代で終活を始めても全然間に合いますが、早い段階から今後の人生について考えて、行動を起こすことで今後の人生がより充実していくと思います。
次は20代・30代で終活を始めるメリットについてお伝えします。
20代・30代から終活を始めるメリット
人生100年時代と言われていますが、仮に100年生きるとして皆さんは人生が「何日あるか」考えたことありますか?単純に365日×100年をして36,500日ですね。
ただ、仮に今25歳であれば27,375日(75年×365日)ですし、40歳であれば21,900日(60年×365日)になります。この約2万日を皆さんは多いと感じますか?少ないと感じますか?
また世代によってもその1日当たりの価値は変わります。
例えば90歳手前の年齢になった時健康な方もいらっしゃると思いますが、若い時ほど身体を思うように動かせなかったり元気がない場合もあるでしょう。
そう考えた時に躍動的に身体を動かせる時間はとても限られてきます。
そうした中で早期に終活を始めるということはとてもメリットが多く、今後の人生においてあらゆる「備え」ができます。
その備えをするために20代・30代で終活を始めるメリットについて解説していきます。
人生設計を行うことによる人生の充実
この記事の冒頭でもお伝えしましたが、終活はお墓や相続だけではなくライフプランを考えることも終活の一つです。
自分の人生をどうしたいのか、自分の人生をどう過ごしどう終わらせたいのかを考えるきっかけが早期にできることがメリットです。早い段階で人生について考えることを真剣に行うことで残りの人生がとても充実するきっかけになるのではないかと思います。
例えば終活を早期に始める理由の1つとして「老後が心配」というのがあります。
具体的には「老後の資金」や「老後の健康」などが該当するのではと思います。
「老後の資金」について心配であれば今から投資ideco・NISA)を始めたり、何歳までにいくら貯めようと動き出すこともできます。「老後の健康」においても今からランニングを習慣化したり十分な睡眠をとるように意識したり、食生活の中に魚や野菜を取るように意識するなど健康を意識したものに変えることもできるでしょう。
お金も健康も20代・30代から準備をしておくことで短期的には効果を感じないかもしれませんが、長期的にみればとても効果的で他の準備をしていない方と比べても差が大きく広がります。
両親の終活を考えるきっかけになり相続問題の回避
また20代・30代の方であればご両親が健在している方も多いと思います。
先程のリサーチ結果でもありまいしたが、50代・60代の方も終活について30%~40%程度の方は動いてはいるものの、見方を変えると半分以上の人は終活について準備していません。
皆さんのご両親はいかがでしょうか。ご自身が終活をすることによって、ご両親が終活を考えるきっかけにもなるようです。これは終活を始める理由にも合った通り家族に迷惑をかけたくないというのが理由にあるからです。
ご家庭によっては相続で揉めたり、遺産の話し合いなどが上手くできないご家庭もあると思いますが、生前に準備しておくのと、死後に話し合いを始めるのでは雲泥の差があります。
ぜひご両親がまだ終活をしていなければ皆さんが終活を行うきっかけとなるとよいでしょう。皆さんもぜひご両親の終活を後押ししてみてはいかがでしょうか。
子供への相続がある場合節税対策を今から始められる
お子様がいらっしゃる場合、基本的には親族の方に遺産の相続をすることになります。
相続する候補が複数人いる場合、生前に話をして遺産の割り振りについても話し合いがされるでしょう。
仮に相続が必要となっても節税対策ができるものがあれば今から始めることができます。
【もったいない】20代・30代から終活を始めない人の特徴と理由
冒頭では20代では3人に1人、30代では約2人に1人が終活をする意向があるとの結果についてお伝えしたかと思います。
しかし、それでも終活を行う人はまだ少なく、全体では行ってない人の方が多いです。
そしてなぜか行っていない人の方が亡くなられた後の相続・遺産トラブルや葬儀のトラブルなどを起こしてしまうケースが多いようです。
(実際にトラブルになる見込みなので、先延ばししてしまっていることもあるようですが)。
まだ終活を始められていない方はおおよそ以下の項目が当てはまるようです。
お墓選びや相続だけと勘違いしている
まず終活に対する勘違いです。終活をお墓選びとか相続をする話だけかと思っている方がかなり多いです。
なので、60歳、70歳になってやればいっかと先延ばししている方がとても多く、終活をしていないようです。
最初もお伝えしましたが、終活は「ご自身の人生をより楽しく豊かにするための人生設計(ライフプランニング)をすること」です。
今後結婚するのか、家を買うのかマンションを買うのか、保険は何にいつ入るのか、ideco、NISAなどはいつ始めるかなど人生について考えることは20代・30代の方の方が多くあるはずです。
なので、終活はむしろ20代・30代の方が始めるべきことです。しかし次の理由にも書いてある通り、自分だけでは終活は成り立たずある程度家族・親族の方を巻き込む必要が出てきます。
家族・親族と話ができない(気まずさ・犬猿の仲)
やはり死と向き合うことを連想させる終活について相続の話などを切り出すのが気まずいご家庭もあると思います。
とあるご家庭の例では「俺は100歳まで生きるから遺産の話なんて死ぬ手前でいい!」とがんこなお父さんは言い放ち、80歳ごろで認知症を患ってしまい、結局代理人の方に手続きを進行してもらうことになったケースもあります。
この例から分かる通り、100歳に近づくだったり、病気になってしまい先行きが見えなくなったタイミングで終活を始めるケースが多いのですが、これでは手遅れなのです。
自分の人生の終わりをご自身で決めたかったりご自身で相続や葬儀・お墓について決めたい場合は正常な判断能力がある内に決めておかないとご自身の希望通りにならなくなってしまうことがあります。
なのでご自身の年齢もそうですが、ご両親の終活においても早い内に行っておくことで周りに迷惑をかけずにご自身の希望に沿った葬儀・お墓などの選定ができるのでは無いかと思います。
確率的な話ではありますが、おおよその方は先に旅立ってしまうのはご両親のケースが多く、残されるのはご家族の方になるかと思います。
残される側の方は親族の死後、手続きや葬儀の手配など多くのことをしなければならず、死後1ヶ月程度はかなりバタバタとしてしまい、仕事を休むこともありかなり大変です。
なので、終活をしておかないということは後々自分の首を絞めることになりますし、苦労される方が多いです。
そこにはご家庭の事情もあるでしょうが、次の見出しのように終活イコール死について考えることに抵抗感がある方もいるようです
死と向き合えない・考えたくない
死イコール恐怖という考えは皆さん一度は考えたことがあるのではないでしょうか。
ちなみにここで死生観・死生論について語ることはありません。皆さんご自身の考えやご自身が信仰する宗教での考えがあると思います。
ただ、終活を始められない課題として死に対する恐怖や無意識の拒絶反応があるようです。
確かに目に見えない恐怖や懐疑などがあるかもしれません。
しかしご自身が愛する息子・娘やお世話になったご親族に亡くなった後に迷惑をかけたいと思っている人は少ないと思います。
このまま何もしなければ遺産のトラブルや膨大な市役所での手続きの進め方も分からず残された方々が疲れ果ててしまう可能性もあります。
そんな状況を天国で何もできず見守っていたいと思う方はいるのでしょうか。
やはり生きている時にきちんとご自身の人生について向き合いやるべき必要なことを生前に済ませておいた方が悔いなく、心配なく旅立てると思います。
何から始めればいいかわからない
ここまで読んで頂いた方は「終活を始めてみようかな」と少しでも思っている方かと思います。
ただ終活を始めると言っても何から始めていいかわからないという方も多くいます。
実際に終活を始めようと思っても何から始めていいかわからないという方が多いようです。
今回は20代・30代に特化して始めるべき終活の準備内容について解説をしていきたいと思います。
まず20代・30代の終活は何から始めればいい?
実はアンケートでも「終活で不安なことは?」という設問に対して「何から手をつけていいかわからない」という回答が約35%程度あり、終活と一言で言っても漠然としすぎてしまっているようです。
何をしておけば完了なのか、どう進めたらいいのかわからない方が多い。
ここでは20代・30代に特化して終活で行っておくべき内容をお伝えします。
この内容を網羅しておけば終活においては約6割~8割程度の終活準備はできている状態となります
(*人により個人差が生じてしまうのであくまで一般的な基準となります)。
また読み進める中で「え?こんなのが終活なの?」という内容もあるかと思いますが、実際に相続や死後の手続きの際にとても助かる内容になります。
逆にこの一元管理をしていないとどうなるのか?の悲惨なケースをお伝えしておきます。
デジタル資産の一元管理
まずはデジタル資産の整理・一元管理です。
具体的には契約しているクレジットカード、銀行手帳やパスワード(特にネットバンク)、ネットフリックスやアマゾンプライムなど契約しているサブスクリプションサービスのログイン情報などを一箇所にまとめておくことです。
スマホのメモに残しておく方もいるようですが、スマホのログイン情報がわからないとそもそもそのメモを見ることができないので、ノートなどに書き記しておくことをオススメします。
(ちなみに銀行は本人以外からのアクセスは基本はNGなので知っておくのはいいですがアクセスするのは控えたほうがよいでしょう)。
このデジタル資産の一元管理は今の時代とても必須な内容です。
特にサブスクリプションサービスはどのサービスを契約しているか書いておかないといつまでもその契約が続いてしまいますし、親族の方も知るすべがなければ止める術もありません。
使っていない銀行・クレジットカードの解約
また先程のデジタル資産の続きですが、銀行・クレジットカードについてもノートに書き記しておくとよいでしょう。
まずそもそもどの銀行口座を持っているのか・どのクレジットカードを持っているのかがわからないとそもそも解約の手続きすらできませんし月額課金のサービスはどんどんと費用が発生してしまいます。
またクレジットカードで未払い金があった場合、その支払先は遺族の方に「相続」という形で引き継がれます。
生前できることは使っていない銀行口座やクレジットカードを「解約」しておくことです。
そうすることで後々手続きする方も解約の手続きをする手間を減らすことができます。
株などの金融資産の整理
株・NFTなどの投資系金融資産も相続の対象です。なので終活をする上では管理しなければならない事項になります。
株や不動産は管理している証券会社の情報を一箇所にまとめておくといいでしょう。
株についても相続の対象で相続する方が複数いる場合は現在価値を計算して相続することになります。
また相続税の対象にもなりますので注意が必要です。
保険・不動産の資料まとめ
保険や不動産の情報管理についても同じく一箇所に忘れずにまとめておきましょう。
当てはまる人が多い保険についてはがん保険、死亡保険などご自身で加入されている保険がある場合、手続きをするのは残された家族になります。
保険金を計算に入れて相続や葬儀の費用などを考えている場合はより手続きを迅速にするため分かる場所に保管しておく必要があります。
(相続でトラブルが起きそうな場合もあるので、ご自身で管理しておいたほうがいいと思います)。
また不動産についても基本的には遺族の方に引き継がれます。
不動産は相続するに当たり、評価額が大きくなるケースがあり相続税が発生する場合が高いものでもあるので、費用がかかる場合は早めの対応が必要となります。
20代・30代の方はこれから不動産(戸建て、マンション)を購入される方もいるでしょうから、仮にその不動産を誰かに相続する場合はローン、かかる税金など分かる範囲で事前に管理しておくと良いと思います。
エンディングノートの記入をしておくとベスト
これまで株、銀行、クレジットカードなどあらゆる資産、デジタル資産などについて「一元管理(一箇所にまとめておく)」ことについて言及しました。
しかし「どこにまとめておけばええねん」と思われた方も少なくないと思います。
その場合は「エンディングノート」にまとめておくと良いと思います。
20代・30代の方で意外と抵抗があると聞くのが「エンディングノート」です。
その名前の通りエンディング(終わり)を意味しているからか、亡くなる前に書く「遺言書」と勘違いされている方が多いようです。
実はエンディングノートと遺言書は全くの別物です。
遺言書は淡々と誰に何をどのように相続するのか、権利を移譲するのかなどを記載していく公的な書類です。
対してエンディングノートはフォーマットが決まっておらず「自由」に書きたいことを書くためのノートです。
それこそ先程お伝えした銀行口座の情報や株、保険、不動産の情報を一箇所にまとめておくのに適しているのがエンディングノートです。
20代・30代の方々もエンディングノートを1冊持っておくとよいでしょう。
多くの方がエンディングノートに終活に関することを全て集約しています。
まとめ
さて、これまで20代・30代の方に特化して終活に関する市場全体の動きや今からすべきことなどについて解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
20代、30代でも終活をする意向がある方は多くいて、今からでもできることはたくさんあります。
終活の始め方・進め方・ゴールがわからなければぜひご相談ください
20代・30代の方に今からできることを色々とお伝えはしてきましたが、やはり独自で進めるのは難しい場合もあると思います。
また相続する際に「親族内でもめそう」「遺産分配が心配」などこの他にも色々な不安はあると思います。
そういった際はぜひお問い合わせいただければと思います。
その他のご不明点などあればお気軽にお聞かせください。
大事なのは一人で抱え込まないということです。
周りの人に聞いてみることによって物事が進むこともあると思います。ぜひお力になれればと思います。