【後の手続きが超大変】生前に相続を済ませておきたいデジタル遺産

相続手続きデジタル手配

デジタル資産の整理をしていない方はとても危険

そもそもデジタル資産とはなんでしょうか。デジタル資産とはスマホやパソコンなどの電子機器内を利用する中で存在する金銭に関する資産のことです。

電子マネー、ポイント、サブスクリプションサービス、暗号資産などがデジタル資産に該当します。このデジタル資産というのが実は相続するのが意外と大変で苦労もしますし、トラブルにも発展する一つのきっかけになります。

理由をお伝えしてしまいますが、なぜなら実物がないため、保存場所が分からなかったり最悪見つからずに相続ができないといったケースがでてくるからです。

DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉がコロナ禍をきっかけに一気に浮上して各社、デジタル化への波が押し寄せました。その中でデジタル機器(スマホなど)で資産を持っている方がものすごく増えており、ゆくゆくは相続する際にデジタル資産を相続することとなります。

デジタル資産の種類

そんなデジタル資産がどんな物があるのかを一緒に確認していきましょう。

デジタル資産一覧
ポイント(楽天、dポイント、paypayポイントなど)
電子マネー
paypay、楽天payなどの残高
アマゾンプライム、Netflixなどのサブスクリプション
株式
SNSアカウント(X、facebook、instagram、LINE)
ネット銀行(楽天銀行、SBI新生銀行)
仮想通貨、NFT
デジタル資産一覧(例)

イメージしやすいのはポイントやマイルですね。電子マネーで所有している残高もデジタル資産に該当します。またネット銀行やネット証券の口座で所有する株も金融商品となります。

デジタル資産に該当するのはポイントや株だけではなく、有料会員サービスの契約もデジタル資産に該当します。

例えばspotifyやapple musicなどの月額契約のサブスクリプションサービス、アマゾンプライムやネットフリックスも同様にデジタル資産に該当します。

デジタル資産の相続が難しいと言われれる理由

先程紹介したデジタル資産の中でご自身でも故人(被相続人)でも構いません。どこにID、パスワードなどのアカウント情報を保存していますか?(していると思いますか?)さらにご質問です。

その保管場所をどこかに明記していたりわかるようにしていますか?(もちろんセキュリティは担保した上で)。そうです。デジタル資産というのは通帳や不動産と違って実物がありません。

なので、探すのがとても大変です。なので相続の際に探すのが非常に難しくなるケースがあります。後で紹介しますが、相続(遺産分割協議)が終わった後にデジタル資産が見つかったなんてケースもあります。

放置してない?デジタル資産をほっておくと発生するリスク

デジタル資産は事前に準備をしていないと発見することが難しくなります。

それはデジタル資産のアカウント(ID、パスワード)などを一元管理(一箇所にまとめておく、相続できるようにしておく)している方が非常に少ないからです。

もちろんセキュリティのリスクもあるので、第三者からみてわかるようにしておくというのも難しいのですがいずれにしても発見が遅れるケースが多くあります。

そして放置をしたくなくても発見が遅れ、相続対応が遅れることがあり後から多くお金を払うということがあります。実際にどんあケースがあるのかご自身が当てはまるものがあるのか考えながら確認いただければと思います。

月額課金のサブスク(Netfilx、アマゾンプライム)

まず最も多いのが月額契約で毎月自動で費用が発生するサブスクリプションサービスです。

具体的にはネットフリックス、アマゾンプライム、Apple music、spotifyなどです。これはログインのアカウント情報があればすぐに止められるものが多いですがまずそもそも何を契約しているのか?が相続人がわからないという状況が多いです。

ほとんど全てのサブスクリプションサービスが自動更新で費用が発生するため気づかないと後から支払う金額がとんでもないことになってしまいます。

理想は生前にサービス契約を解除しておくことです。

とはいえ、まだ使用していたりするものもあると思うので契約しているアカウント情報をエンディングノートなどにまとめておくことで後から相続人が見た時に早期発見、早期対応に繋げることができます。

期限に間に合わず延滞金が発生

相続をするに当たり相続人間で遺産分割協議というのを実施しなくてはなりません。

遺産分割協議に期日はないですが、相続にまつわる作業の中には期日があるので注意が必要です。その1つが相続税です。相続税は故人(被相続人)が亡くなって相続が発生することを知った日から10ヶ月以内に相続税の納付・申請を実施をしなくてはなりません。

申請が遅れると無申告加算税、延滞税、重加算税などが加わる可能性があり大変なこととなります。(これほんとにかなり多く税金課せられるので注意です。これは確定申告などでも同じで申告遅延するとさらに税金持っていかれます)。

皆さんのお気持ちはわかります。確かに相続は大変で、仕事の合間をぬって対応しなければならず、場合によっては心身ともに疲れます。ですが、後から払う必要のない税金を課せられる方がかなり精神には来るので本当に大変かと思いますが、早めに対応をお願いできればと思います。

申告漏れを指摘されてより多く税金を払う

相続のデジタル資産にもよるのですが、資産価値が高いものだと希に税務調査が入ることがあります。

この際に申告漏れを指摘されるとその資産分の税金に加えて、追徴課税、重加算税という全く払う必要のない税金も追加で支払うこととなります。これは本当にもったいないし、当人としては悔しい思いをすることになります。

故意に隠したわけではないが、気づかなかった場合でも税務調査が入ると探られてしまうこともあり、追加でデジタル資産が見つかるというのはとても面倒なので、やはり被相続人(相続する人)は生前にまとめておくことをおすすめします。

特に資産価値が大きいものは目をつけられやすいので、優先順位を高くして相続準備をしましょう。

遅くなると損失が拡大するリスク

これは主に金融資産で株、FX、仮想通貨(暗号資産)、NFTなどのデジタル資産に関するお話です。

株やFXなどを資産として証券口座に現金として置いているだけであれば問題ないですが、どこかの企業の株を持っていたりすると資産価値というのは変動します。

上がっているに越したことはないですが、下がるケースも想定されます。ただ下がるだけであれば良いのですが、最悪のケースとして相続をしたタイミングの評価額に対して税金が発生するのにいざ相続を正式にしたタイミングで価値が下がっていると、「税金を多く支払うのに対して受け取り金額が少なってしまう」といった事態になることがあります。

相続が遅れると損失を多く被るリスクがあるのでこれは放置せず早めに対応したほうがよいでしょう。

最悪遺産分割協議をやり直すこともある

デジタル資産というのは発見が遅れるケースがよくあります。

先程もお伝えした通り相続税の申請期限などもあり相続人間で遺産分割協議を実施したとします。しかし遺産分割協議後にデジタル資産の存在が発覚した場合、再度協議を実施しなければならないケースがあります。

遺産分割協議では遺産分割協議書という法的効力を持つ紙に取り決めを書いてそれぞれ証券会社や不動産会社などに持参して相続を行います。そのデジタル資産が何かにもよりますが、場合によっては書き直しになる場合もあり、法定相続人が物理的に離れた場所に暮らしていたら再度集まるのも大変です。

なので、デジタル資産は生前にまとめておくのがよいですし、家族などに迷惑をかけないためにも生前準備が大切になります。

仮想通貨・NFTなどのデジタル資産における相続トラブルが急増中

そして最近特にトラブルになるケースが増えているのが仮想通貨(暗号資産)、NFTなどの実物がないものの相続です。仮想通貨の代表例はビットコインですが、こちらも相続対象ですし、相続税が漏れがちな相続対象の1つです。

仮想通貨・NFTは気づきにくい

仮想通貨の取引所として国内で有名なのはビットフライヤーやコインチェックが上がります。いずれもアプリがあるので故人(被相続人)のスマートフォンがあり、ログインパスワードが分かればデジタル資産(この場合、なんのコインをどのくらい持っているのか)がわかると思います。

しかしアプリを入れていなかったり、別のツールなどで保有していた場合は発見が遅れることもあります。またNFTに関してはかなり派生していて、デジタルアートやゲーム上のキャラクターなどが該当してなんのNFTをどういった形で保有しているのか、分かりづらいです。

また相続人(相続する側が)が仮想通貨・NFTに多少知識を持っていればいいですが、何もわからないとそもそもどうしていいかという問題も浮上します。なので、これらは生前の相続や伝達が重要になってきます。

後でトラブルにならないように売却して整理しておくのも手

暗号資産・NFTに関しては利益がでるタイミングも難しいかもしれませんが、損失がでたら相続する方も困るので生前に売却をしてキャッシュ化しておくことができればしてしまったほうが後々のトラブルや発見の遅れなどが起こりづらいです。

もちろん将来への投資で保有しているから相続させたいなどの思いがある方もいるかもしれませんが、相続準備をしていないのに相続される側はとても困りますよね。

後々トラブルになる方が困るので売却できる場合はしてしまい、相続させたいと考えているのであれば生前のコミュニケーションが大事になります。

デジタル資産の相続トラブル

続いてはデジタル資産にまつわるトラブルの具体例について解説します。ケースバイケースでよく起こりうるトラブルをまとめているので、「こういったことが起こりそうだな」「私に当てはまりそうだな」というのを考えながら見てもらえばと思います。

相続手続き後に仮想通貨を保有していることが発覚

これまでのお話でデジタル資産は発見しにくいというのがわかったと思います。故人(被相続人)がアカウント情報や資産情報を相続人が分かる形で残しておかないと相続対応が遅れてしまうことがあります。

それこそ相続の協議や手続きが住んだ後に見つかるということもあると思います。例えば相続手続き後に仮想通貨(暗号資産)を故人(被相続人)が保有していることが発覚しました。

この場合は、遺産分割協議のやり直し、遺産分割協議書の作り直し、そして期限後の相続税申告を行った例となります。これは収める税金の金額もかわりますし、手続きも大変で時間がかかるので生前の準備がとても重要になります。

相続手続き後に銀行口座が発覚

これも先程の仮想通貨(暗号資産)の例と同じで、遺産分割協議のやり直し、遺産分割協議書の作り直し、そして残高次第ですが必要な場合は期限後の相続税申告を行うことになります。

相続税の法定納期限を超過してしまった場合は延滞税と過少申告加算税が発生するのでとても損をします。

現在は大手のメガバンクでも通帳の発行を推奨していなかったり将来有料化予定の銀行も増えてきているので発見が遅れることが今後ますます想定されます。

ネットバンクも台頭してきているのでますます見つけにくくなるので、こちらも生前の整理や家族への伝達などをしておいたほうがよいでしょう。

スマホ決済サービスに残高が残っていた

これもコロナ禍をきっかけに利用者が増えていて、後々の発見に繋がっている例となります。paypayやモバイルSuicaなどスマホ端末に残高をチャージする形式のサービスを利用していて発見が遅れてしまった例となります。

これは各サービス会社への問い合わせが必要となります。普通に発見できれば問い合わせをして相続ができますが、スマートフォン自体を初期化してしまった場合などはさらに発見も遅れ手続きも煩雑となり大変です。

こちらも利用必須でなければ生前に残高を0にしておくだったりしてデジタル資産を残さない対策が被相続人(相続する側)に求められています。

デジタル資産は生前対策が超重要(対策解説)

さてここまでデジタル資産にまつわる相続の難しさやトラブルについて解説してきました。まとめると総じて「生前の準備・整理」がとても重要となります。

これは被相続人側はもちろんですが、相続人(相続される側)もサポートができればしつつ一緒に進めていくことも重要となります。

いらないものの整理と解約手続きをする

まずデジタル資産の相続準備を始める第一歩は「いらないものの整理」と「今の資産の把握」です。そもそも何をデジタル資産として保有しているのか、今使っていなくて解約できるものはあるのかなど現状を把握することがとても大事です。

多く資産の種類があると後から整理するのも大変なのでいらないものは解約するなりして整理することが大事です。

管理場所を一箇所にまとめておく(家、スマホ)

そして被相続人(相続する側)も相続人(相続される側)もわかりやすいように管理場所をまとめておくことも生前にできる重要な対策です。家が散らかっていたり、ものがいっぱいあるとどこに何があるか分かりづらいと思います。

管理場所をまとめておくことで相続しやすい環境作りをすることも相続の1つとなります。

家族にデジタル資産について話をしておく

そして整理や準備が一段落ついたら、家族にデジタル資産について事前に共有しておくことが大事です。

ご家庭によっては事前に話ができる・できないが分かれると思いますが、前もって共有しておくことでその後のトラブル発生率を下げることができますし相続される側の負担も軽減することに繋がります。

エンディングノートを作成しておく

そして被相続人(相続する側)が行う対策の代表作かつ重要なものとして「エンディングノート」があります。エンディングノートは相続に関すること全てをまとめておくことに適したノートで、デジタル資産についてもぜひエンディングノートへまとめておいてください。

相続される側はエンディングノートを見ればすべて相続するものが分かる状態にあればかなりの負担軽減になります。

エンディングノートの書き方や遺言書との違いについては別の記事でかなり詳しく解説しているので、ぜひ御覧ください

まとめ

いかがだったでしょうか。

相続は遺産を引き継げば終わりと思っていた方も多いかもしれませんが、いろいろなものがデジタル化していて法整備も追いついておらず、相続が複雑化している状況です。にもかかわらず遅れれば延滞金は発生する可能性はあり、新たに資産が発覚した場合は遺産分割協議をやり直すこともあります。

相続する額が多ければ多いほどトラブルになる可能性はあると思いがちですが、相続額が小さくてもトラブルになっているケースは多いです。

心配な方や後からトラブルになることを避けたい方はぜひ専門家へのご相談をお願いします。

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