皆さんは自分のご家族がどの宗教に入られているかご存知ですか?
早速ご質問ですが、皆さんはご自身の宗教をご存知でしょうか?
たいていの方は「宗教なんて入ってないよ」と言われるかもしれません。
しかしご家族の方や先祖の方が「え?実はこの宗教だったの?」と亡くなられた後や終活をされる上で発覚することも実は多々あるようです。
また宗教は把握していても「宗派ってなんだっけ?」というケースもあるようです。
同じ宗教でも宗派によって葬儀の形式も異なるので、いずれにしても把握していないことが多くいざ、亡くなった後に遺族間でトラブルになることもあるようです。
ここでお伝えしたいことは「特定の宗教に入られていて、葬儀形式やお墓などにこだわりがある場合は生前にしっかりとご準備をしましょう」ということです。
実家や先祖の宗教を把握せずお葬式をしてしまうとトラブルになるケースも
これは大げさではないのですが、ご自身の宗教や宗派を把握していないと先祖代々受け継がれてきた宗教や宗派を途絶えさせてしまう可能性もあります。
なので、ご自身の宗教を把握していない場合はきちんと把握することと、受け継ぐ必要があるのであれば残されるご家族にもきちんと伝承させておく必要があります。
本記事では宗教・宗派別の葬儀の特徴や注意点、見落としがちなポイントなども解説しますので、ぜひ最後まで御覧ください。
1.宗教・宗派別における葬儀の特徴と終活で準備すべきこと
終活をされている方も、これからされる方も葬儀についての準備を進めることは終活においての重要な考えるべき事案です。
その上でまずはまた宗教ごとの葬儀について「把握しておきたい!」という方はこの記事を読むと特徴や概要を把握することができます。
この記事はどの宗教方式で葬儀を上げるのかをこれから考える方にとっても有益な情報になっていると思います。
自分の宗教を知るヒントはいくつもある
ちなみに冒頭でも記述した「ご自身の家系の宗教・宗派についてわからない!」という方は実は探すヒントはあったります。
例えば日本人に多いのは仏教徒です。
先祖のお墓が既にある寺院墓地に行ってお墓があれば、ほとんどの場合そのお墓の檀家(だんか)のようです。
つまりそのお寺がどの宗教・宗派なのかによってご先祖がどの宗教・宗派を把握することができます。
その寺院墓地が仏教の浄土宗であれば、その確率が高いということです。
(あくまで確率が高いということなので、必ずしもそうではない可能性もありますので、確認はしたほうがよいでしょう)。
ちなみにご先祖の宗教はわからないけど、仏教式で葬儀をしたいという場合でも受けてくれるお寺はありますので葬儀会社に一度相談してみましょう。
仏教
まずは仏教式の葬儀の特徴について解説していきます。
最近では無宗教なので自由葬で形式にとらわれない葬儀も増えているようですが、この仏教が日本では最も多い宗教の形式となっており日本ではごく一般的な葬儀の方式になります。
仏教の葬儀式の葬儀は、亡くなった人の冥福を祈るための法要が中心となります。
お坊さんによる読経やお経の読み上げが行われ、仏壇にお供え物をすることが一般的です。
日本の映画やドラマでも人が亡くなった時に行われているので、お葬式をしたことはなくても見たことがあるという方はいらっしゃると思います。
また、焼香や仏前での手を合わせるなどの儀式も行われます。
仏教の場合、納骨堂やお墓に納骨することが一般的です。
また仏教にも宗派がいくつか分かれており、主に以下の3つに分岐するようです。
①真言宗:真言宗は、平安時代に空海(弘法大師)によって開かれた仏教の一派です。
現在では、日本にある寺院の約20%を真言宗が占めているようで特に北関東や四国地方に多くの信徒が存在しています。
真言宗の葬儀はお坊さんによる読経が行われ、仏壇にお供え物をすることが一般的です。
また、仏前での手を合わせるなどの儀式も行われます。
火葬場での手向け供養や、お骨を納める納骨堂においても、お坊さんによる読経や手水などが行われます。
また焼香の作法は宗派によって異なり真言宗は焼香台に進み3回焼香を行う。(香は額の高さまであげて押しいただく)合掌という流れです。
これ以外にも数珠の使い方や香典の包み方も真言宗でのやり方があります。
しかし決して難しいものではないので特段不安になる必要もありません。
②浄土宗:浄土宗の葬儀では、故人が極楽浄土に往生することを祈る儀式が中心となります。
お坊さんによる読経や、故人を送る歌を歌うことが一般的で特徴としては僧侶と共に故人に代わって参列者一同が念仏を唱える「念仏一会(ねんぶついちえ)」というものがあります。
具体的には「南無阿弥陀仏」と念仏を10回から一定時間唱えます。
これは故人が阿弥陀如来の救いを得る助けをするという意味に加えて参列者と阿弥陀如来の縁を結ぶという意味もあります。
なので、参列者の方も念仏を唱えるのが主な特徴です。
③臨済宗:日本仏教において禅宗(臨済宗・曹洞宗・日本達磨宗・黄檗宗・普化宗)の1つです。
鎌倉時代以降、日本にも広く普及しました。中国禅宗の五家七宗の一つで、鎌倉時代に明庵栄西(みょうあん えいさい)という僧が日本に広めた禅宗になります。
臨済宗の葬儀では故人を仏の弟子にするため授戒という儀式と、仏の世界へと導くために引導の儀式が中心に行われます臨済宗の葬儀は、一般的には静かな雰囲気の中で行われます。
しかし最後の儀式である「引導」の中に僧侶が「喝!」と一喝するタイミングがあります。
これは決してサンデーモーニングの張本氏を連想させているのではなく、大事な意味が込められています。
この喝の一言にはこの世との未練を完全に断ち切り、平穏で安らかな状態で浄土へと旅立てるようにという願いが込められています。またお経の説明も行われ、参列者が合掌をします。
キリスト教
続いてキリスト教についてです。
キリスト教の葬儀は神への感謝や亡くなった人の冥福を祈ることが中心となる形式です。
聖書の朗読や祈りが行われたり、牧師による説教もあります。(ここでいうまた、説教とはガミガミと怒るものではなく、宗教の教えを説きお話することです)。
キリスト教の場合は、亡くなった人が天国に旅立つことを祈るため、コフィンに神父様によってお祈りを捧げる場合もあります。
またキリスト教の場合、埋葬方法については火葬ではなく土葬が基本になります。
海外の映画でも観たことがある方もいると思いますが遺体を清めて棺に収め布をかけ、そのまま土の中に埋葬する形式です。
日本でも対応しているところはあります。
キリスト教の宗派は主に以下の3つになります。
①カトリック: カトリックの特徴としてまず一つ上げるとしたら「死は祝福」という考え方です。
死は生の始まり「祝福」として捉えられていて、仮に周りにカトリックの方がいたら「お悔やみ申し上げます」という表現よりは「安らかな眠りをお祈り申し上げます」と少しポジティブ寄りの言葉を伝えるのが一般的にはよいでしょう。
また聖職者を牧師とは呼ばず「神父」や「司祭」と呼びます。
また先程もお伝えした通り「死は祝福」という考えがあるため、故人には永遠の命を得られると考えられています。
なので、カトリックの葬儀は故人の罪を神にお詫びして、復活の恵みに対する感謝をするいわば葬儀というより儀式になります。
お別れする悲しみはあれど普段から神様に祈りを捧げているためポジティブに死を捉える特徴があるのがカトリックです。
②プロテスタント:カトリックとプロテスタントがキリスト教の2大宗派になりその内の1つの宗派がプロテスタントで世界には約4億人以上の信者がいるようです。
(ちなみにキリスト教の中ではカトリックが最も多く、約11億人以上との推計値があるようです)。
特徴としては故人ではなく神様に祈りを捧げて遺族を慰めるという考え方があります。
基本的な式次第(しきしだい:儀式を進める順序のこと)に沿いつつも個人によって柔軟に進め方のカスタマイズを対応してくれるところが多く、キリスト教の完全な信仰者ではない人の葬儀にも柔軟に対応してくれる教会が多い傾向です。
またプロテスタントでは聖書を絶対的なものとして扱われたり聖職者を「牧師」と呼びます(カトリックでは聖職者は「神父」や「司祭」と呼びます)。牧師さんを臨終の際に家族が招き祈りが捧げられます。
臨終の中で賛美が捧げられたり、聖書の朗読があります。
そして葬儀の前には、「前夜式」という通夜がとり行われます。
牧師による説教や讃美歌の斉唱などの後に献花を行うのが一般的な式の形式になります。
またプロテスタントでは故人を追悼する儀式を「記念式」と呼び、亡くなってから1カ月目には「召天(しょうてん)記念日」といって 自宅か教会、または墓前に牧師を招いて記念式を行います。
記念日というくらいなのでひどく悲しむものより故人を追悼した茶話会が開かれるので、小さい祭壇を自宅にもうけて、牧師を招いて祈祷や聖書の朗読、讃美歌などを行います。
プロテスタントでは1ヶ月後の召天記念日にミサ(キリストの死と復活を記念したもの)が開かれるようです。
(ちなみにカトリックでは故人が亡くなった1年後の召天記念日)。
③正教会(東方正教会):最後が正教会になります。
キリスト教の2大宗派としてカトリックとプロテスタントがあるとお伝えしましたが、正教会というものキリスト教の宗派の1つです。キリスト教の中でもカトリックやプロテスタントは西ヨーロッパを中心に波及しましたが、正教会は東ヨーロッパを中心として広がりました。
主な教徒の国ですが、東方正教会というくらいなので、ポーランド、ウクライナ、チェコ、スロバキア、フィンランドなどの東ヨーロッパになります。
また日本にもあり日本正教会とも言われたりします。
世界には正教徒の方が約2億人近くいるようで、その多くはロシアやウクライナなどの周辺地域にいるようです。
日本にもいますが、人口は少なく1万人前後と推計値があるようです。
話を正教会の葬儀に戻しますがまずそもそも正教会の葬儀は葬儀とは呼ばずに埋葬式という呼称になります。
埋葬式(葬儀)の流れですが主には以下の通りです。
1.通夜→2.埋葬式→3.埋葬(土葬)ちなみに日本では土葬は法律上認められた墓地であれば、土中に死体を埋葬することは問題ありませんが自治体や寺院・霊園で土葬を禁止している場合が殆どでできるところは本当に限られています。
神道
続いては神道についてです。
神道という宗教を聞いたことがありますか?
日本にも全体の数%しか教徒の方がいなくてかなり少ないです。
これまでご紹介した仏教やキリスト教とはかなり異なる特徴を持っています。
実は神道は日本固有の宗教ということを皆さんご存知だったでしょうか。
実は古くから日本人の生活の中に根付いており天照大御神をはじめとする神が数多く存在します。となるとこう疑問に思う方がいるかとお思います。
「仏教との違いってなんなの?」。仏教はインドの釈迦が開祖した宗教で、日本には飛鳥時代に伝来したものと伝えられています。
仏教では、釈迦が説いた教えを記録した「経典」をバイブルとしており、教義や戒律が定められていますが、実は神道は日本人の生活の中で自然に発生した宗教です。
なので統一された式次第がないという特徴が1つあります。
またそんな神道ですが神道の葬儀のことを神葬祭(しんそうさい)といい、神道の世界では亡くなった人は神々の世界へ帰って子孫を見守るという考えがあります。
なので神葬祭は故人を子孫の家に留めて守護神になってもらうための儀式として位置づけられています。
統一された式次第が無いとお伝えしましたが、とはいえ故人に守護神になってもらうための葬儀(神葬祭)として大まかな流れは仏教と類似しています。
注意点としては仏教では使う数珠を神道では基本的には使いません。
喪服は来ますが、アクセサリー系は基本外して葬儀を執り行います。
イスラム教
日本でもイスラム教の葬儀は可能です。イスラム教は基本火葬ではなく、土葬が決まりとしてあります。日本では基本的には土葬は法律で禁止されているのですが、数少ないながらも日本にもイスラム教の方のために土葬可能な墓地はいくつかあります。
なので、お墓の場所は限定されてしまいますが、お墓を建てること自体はできます。
葬儀の流れとしては「礼拝→埋葬→葬式」が基本の順番となります。
まずは礼拝についてです。イスラム教の方が亡くなった時は、周りのイスラム教の方で送り出すのが基本です。
逆に、たとえ親族であっても非ムスリムの場合には礼拝には参列できません。
非ムスリムの友人・親戚がいる場合は礼拝をモスクの後ろで見守るのみとなります。
ご遺体は礼拝堂であるモスクに運ばれ、聖地メッカの方を向くように安置されます。
イマームというアラビア語で指導者を意味する聖職者の方が礼拝を執り仕切り、イスラム教の男性が儀式に参加します。
礼拝の準備が整ったらアラビア語の祈りを唱え、コーラン(イスラム教の聖典)を読みます。
以上が礼拝で次は埋葬になります。
ご遺体を棺で運びだす時に埋葬する役割もイスラム教の男性のみに限られます。
イスラム教ではない方は少しご遺体から離れたところで見送ります。
埋葬を終えると最後は葬式です。
埋葬を終えた後に実はもう一度モスクで葬式を催します。ただ、この葬式にはイスラム教徒以外も参加ができます。
しかし、男女の隔たりは大きくここでも男女は同席しません。女性はモスク後方か、故人の家などに集まって過ごしたりします。
葬儀での服装について基本は喪服やダークスーツを着用します。
香典は持参しても構わないが、香典の習慣はイスラム教にはないので断られる場合もある。
またイスラムでは死は終わりではないと考えられているため、あまり悲しみの感情を表に出すことは好ましくないとされています。死は神アラーによって決められるもので、いつか復活するまでの一時的なお別れにすぎないという考えがあります。
なので、死によって魂は一度肉体から離れるだけという考えなので、故人の思い出に感謝しながら、心穏やかに送り出して上げることがイスラム式のようです。
無宗教(自由葬)
さてここまで仏教やキリスト教など様々な宗教の特徴について解説してきました。
ここまで読まれた方は「自分はどの宗教式にしようかな」と選んでいた方もいるかもしれません。
しかし近年はやはり宗教に対する宗教離れや関心の薄れなどがあり実は「自由葬」という選択肢もあります。
自由葬とはその名前の通り、どの宗教にも属さず自由なかたちで行う葬儀です。
日本の多くの葬儀の方式は仏教式ではありこだわりがない方はこれまで先祖が行ってきた仏教式を自然と選ばれる方もいますが埋葬方法やその後の追悼行事である四十九日や一周忌、三回忌といった法要も仏式で行うことになります。
これを知って「大変」「葬式の準備も大変なのにその後も色々と行事があるのは手に負えない」など色々な意見があるようです。
こういった不満に対して自由葬をされる方が多いようです。
自由葬の葬儀の例をいくつか上げると例えば「故人の好きだったポップミュージックを流す」「過去の映像を流す」などがあります。
自由葬に決まりきった形はないので、御本人の意向に沿った形で執り行う事ができます。
自由葬をご希望される方は生前の終活準備がとても重要になります。
あえて自由葬のデメリットを上げるとするなら形が決まっていないため自分で葬儀の形を決める必要があります。
ある程度の流れは葬儀会社も持っているので全てをゼロから決める必要はありませんが、ご要望があれば事前に準備しておくことが大切になってきます。
2.宗教・宗派別葬儀の形式や作法
続いては葬儀の形式やお作法についてです。葬儀の形式は宗教または宗派によってもことなります。
各宗教別でどんな形式や作法があるのか。そしてその作法をご自身の葬儀に取り入れたいかも含めて読み進めていただけると幸いです。
仏教
基本的には以下の通りの作法と順番で葬儀が執り行われます。
1.仏壇の設置:仏教式の葬儀では、故人の家族が仏壇を設置します。
仏壇には、故人の遺影や位牌、仏像、仏具などが置かれます。
2.お経を唱える:仏教式の葬儀では、僧侶が経を唱えます。
経は、故人のために読まれるもので、故人が成仏するためのお祈りとなります。
3.香典を渡す:参列者は、香典を渡します。
香典は、故人の供養のためにお布施するもので、現金や印紙などが使われます。
4.お坊さんによる法要:葬儀の最後には、お坊さんによる法要が行われます。
法要では、故人が成仏するためのお祈りが行われます。
5.火葬:仏教式の葬儀では、火葬が行われます。
火葬により、肉体が浄化され、魂が解放されると考えられています。
そして葬儀自体はここまでで終わりですが、49日忌法要というのがあり 6 49日忌法要:仏教では、故人が死後49日間は迷いの世界にとどまり、成仏するための修行を行うと考えられています。
そのため、49日忌法要が行われることがあります。
キリスト教
キリスト教の場合は祈りや聖書の朗読が中心となります。
外国の映画やドラマを見たことがある方はなんとなくわかるかもしれませんが、 1.教会での葬儀 キリスト教式の葬儀では、教会での葬儀が一般的です。
教会での葬儀は、信徒たちが集まり、故人を偲ぶ機会となります。
2.聖書の朗読や賛美歌の歌唱 キリスト教式の葬儀では、聖書の朗読や賛美歌の歌唱が行われます。
故人が聖書の教えに従い、信仰心を持って生きたことを偲ぶためです。
3.牧師による説教 教会の牧師が、故人について説教を行います。
説教では、故人が信仰心を持って生きたこと、キリスト教の教えに従って生きたことが強調されます。
4.葬儀用品 キリスト教式の葬儀では、十字架の形をした棺や、聖書をかけた棺などの葬儀用品が用いられることがあります。
5.葬儀後の祈り 葬儀が終わった後に、教会で祈りを捧げることがあります。故人が天国に行くことを願い、参列者たちが共に祈ります。
イスラム教
仏教の「浄土宗」や「臨済宗」の宗派のように、イスラム教にも宗派があります。中東で過激派のニュースを観たことがある方は聞いたことがあるかもしれませんが主に「スンニ派」と「シーア派」という宗派があります。
特徴を以下の表にまとめました。
宗派 | スンニ派 | シーア派 |
人口 | イスラム教の約90% | 少数派 |
信仰 | コーラン(聖書) | 血脈を重視したイマーム(指導者) |
主な国 | サウジアラビア | イラン |
調査データによって多少のズレはありますが、現在全世界に住むイスラム教徒の87%から90%が「スンニ派」、10%から13%は「シーア派」と推定されています。
なので、イスラム式の葬儀といえばほとんどがスンニ派とイメージしてもらってよいでしょう。
3.墓地やお墓の選定
続いてはお墓・墓地の選定についてです。
墓地やお墓の選定は一生の中でも数える限りの回数しか考える機会がないことかと思います。
金額もかなり高く親族や親兄弟、場合によっては自らが入る可能性のあるものかと思います。
終活をされている方の中でも墓地やお墓選びに悩み人によっては「失敗した」「後でめちゃくちゃ後悔した」といった声もあります。ですので、こちらの注意点を読んでいただき見落としやすい注意点を把握いただけると良いかと思います。
1.立地・アクセス
まずは立地・アクセスです。お墓は建てて終わりではありません。
その後ご先祖様へお参りに行くタイミングもあるかと思います。
なので、「お墓参りしやすいかどうか」はとても大事な要素です。また健康な時は良いですが、老後に足腰を悪くしたなどして遠くて通えないなどのケースもあるのでかなり慎重に選ぶことが大事になります。
また車で行く場合は駐車場の有無や台数なども事前に検討しておくと良いと思います。
お彼岸やお盆など行くタイミングが他の方と被る場合もあると思うので
2.宗教・宗派
こちらは当たり前のように思うかもしれないのですが、宗教・宗派についても事前に検討しておいてください。
なぜなら霊園・墓地によって、受け入れることのできる宗旨や宗派が異なるからです。
宗教は一切問われない「宗教不問」の霊園・墓地もあれば、在来仏教といって日本の伝統かつ代表的な仏教宗派の霊園・墓地もありキリスト教・神道の霊園・墓地もあります。
一番わかりやすくてストレスがないのは宗教不問かと思うので、何か霊園・墓地選びに困ったら宗教不問の墓地を選ぶとよいかと思います。
3.お墓のタイプ
続いてはお墓のタイプについてです。
以前のお墓のタイプは立派かつ伝統的なお墓を建てることが主流でしたが、現代では様々なタイプのお墓があり「納骨堂」や「樹木葬」「永代供養墓」など多くの選択肢があります。
まだ決まっていないという方はぜひご自身に合ったお墓のタイプを選んで見てください。
4.価格・費用
続いては価格です。多くの方が重要視するポイントで価格についてはきちんと吟味したいですよね。
価格を左右するポイントとして挙げられるのが「管理費用」「永代使用料」「墓石代」の3つがメインになります。
中でも永代使用料とお墓代は一番高額にはなります。
当たり前ですがお墓代は大きななどによって価格が変動するのと公営の霊園にお墓を建てる場合には自由に石材店を選ぶことができますが、民営霊園では石材店を指定している場合が多いのでこだわりがある方は注意が必要です。
そして永代使用料ですが、これはお墓の土地の使用権料になります。
お墓を建てる区画はあくまでも借りている土地なので、ご心配されている方もいるかもしれませんが所得税や相続税、固定資産税などは発生しませんのでご安心ください。
しかし逆を返せば誰かに譲渡もできません。
土地代が高い都心ではこの永代使用料が高くなる傾向がありますので、これもアクセス・立地面と費用のバランスを見て選びたいポイントになります。
管理費用については霊園・墓地における共有部分の水道代、電気代、メンテナンス費用になります。
目安は数千円~数万円になります。
この管理費用は一回払って終わりというより継続して払い続けるものなので、親族のどなたが負担ふるのかを決める必要はあります。
5.お墓の運営元
お墓は一度建てたら永続的にその霊園・墓地とお付き合いしていくこととなります。
管理の体制や設備など将来性と永続性を加味してきちんと見極める必要があります。
またこの点は寺院墓地なのか霊園なのかによっても変わる可と思います。
寺院墓地とは寺院の一角にある墓地のことを指します。
お寺により宗教・宗派は決まっており、お墓を建てた後もお寺とのお付き合いが続くことになります。
これだけではないですが、メリットを上げると管理が行き届いていることや法要について僧侶に相談できる点が挙げられます。
しかし一方でデメリットは壇家(寺に属して、寺を財政面からサポートする家のこと)になる必要があり入檀するにも費用が発生して入檀料の相場は10万〜30万円程度になります。
なので費用が高額になるケースが多くこの点でネックとなる方が多いようです。
一方の霊園は民営霊園と公営霊園に別れます。
民営霊園とは一般の財団法人や宗教法人などが運営している霊園です。
つまり会社に近い組織が運営しています。
メリットとしては管理が行き届いていることが多く、施設も新しめでキレイなところが多いです。
ただしその分料金はやや高めとなります。公営は自治体が運営しているため、費用が安めなところが多いですが、その分入りたいと思う方も多く多くの場合は抽選のようで倍率も高いようです。
なので、確実に入れるとは限らないのがデメリットです。
それぞれメリット・デメリットはありますが、ご自身に合った墓地・霊園に入れることばベストな選択かと思います。
6.管理体制
最後に管理体制についても確認しておきたいです。
管理体制とは「清掃状況」「植込み・芝の手入れ」「備品の有無」などです。
管理体制が整ってないとお墓・霊園の雰囲気も悪くご先祖様や亡くなられた方々も良い思いはしません。
定期的に管理費はお支払いしていても管理体制がきちんと整備されていないのであれば、その場所は避けるなどしたほうがよいかもしれません。
お墓は基本的に一度建てたら変更することはできず、ずっとその場所でお世話になります。
改装することもできますが、再度100万単位の費用が発生してしまいます。
後々後悔しないように管理体制の確認はきちんとしたほうがよいでしょう。
4.お布施や香典の扱い
続いてはお布施や香典についてです。
お布施とは仏式(仏教式で葬儀を行う時)において僧侶に読経をお願いした時に渡すもので、お礼の現金のことです。
日本では9割が仏式のためほとんどの葬儀でお布施が必要になります。
香典は故人にお供えするお金のことを指します。
その名前の通りお香やお線香のかわりにお供えするという意味があります。このお布施や香典も宗教によって異なるので、各宗教式による違いを確認しましょう。
仏教(仏式)のお布施
まずは最も日本で多くの方が執り行う。仏式についてです。
元々お布施というのは仏式において取り入れられているものです。
他の宗教においてもお布施のようなものはもちろんありますが、お布施という名目でお供えをするのは仏式の特徴となります。
仏式では僧侶にお経を読んでもらう読経をお願いしたり、戒名(かいみょう)(故人が亡くなり、仏さまの弟子になったとして、お寺から授けてもらう名前のこと)を授かったりする際に渡すお礼がお布施になります。
皆さん気になるのがお布施の相場ですが、一般的な話をするとお布施はあくまで遺族からの感謝の意を表したものであり、一律いくらといった決まりはありませんが相場というものがあるので参考にしていただければと思います。
「葬儀・お通夜」に関しては平均20万円程度のようです。
しかし10万円未満という方もいらっしゃいますし、あくまで感謝の気持ちをお渡しになります。つづいて「納骨式」です。納骨式は火葬後骨壷などに入れていた遺骨を、四十九日が過ぎてからお墓などに納めるための儀式ですが、お布施の相場としては約3万円が目安のようです。
こちらもお経を読んでもらったお礼になります。
四十九日やお彼岸におけるお布施の相場としては3万円から5万円が一般的のようです。
お盆も初盆においては相場が3万円~5万円のようですが、2回目以降は5,000円~1万円が平均のようです。
またお布施とは別に戒名においても金額の相場があります。上記の葬儀におけるお布施でも解説した通り一般的にいくらという決まりはありませんので、あくまで参考の数値ですが葬儀におけるおおよそ相場は20万円~30万円になります。
葬儀の戒名における相場はかなり高額となり、一般的に葬儀の際は読経料と戒名のお布施を一緒に渡します。
とはいえこちらの記事を読んで「戒名の相場高すぎ!」と感じる方もいらっしゃると思います。
戒名は仏教においては必要となるので、不要の方は無宗教式や他の宗教式を選ばれる方もいるようです。
また仏式でも寺院のお墓に納骨しない場合は不要の場合もありますが、仏式で戒名をつけたくないという場合は寺院ではなく公営のお墓や永代供養を利用すると不要で進められることがあります。
基本的に戒名というのは仏教の基本思想で仏教を信仰している方が仏様の弟子となり、極楽浄土に迷わず行けるようにとつけられるものです。
ホットドッグのトッピングと違いケチャップは入れるけどマスタードはいらないといったことができないのは基本となりますので、既に仏教式の方は覚えておいていただきまだどの宗教式で葬儀を行うのか決めかねてて戒名が不要というのであれば仏式は選択肢から外したほうがいいかもしれません。
またお布施とは別にお車代として5000円~1万円をお渡しする場合もあれば、お通夜や葬儀などの法要では、会食などの食事を用意することがあればお膳料をお渡しすることもあります。
まとめると葬儀においてはお金が一定額発生するので前持った終活の準備がとても大切になります。
キリスト教のお布施
次はキリスト教のお布施についてです。まず結論からキリスト教にお布施という概念はなくどちらかというと「献金」になります。
とはいえ仏式や神式と同様にお葬式を上げてもらったお礼を包んで渡すのが一般的です。
サービスに対する対価ではないので、神式と同様に金額に決まりがないですが、一般的な相場は5~15万円程度と言われています。また献金とは別に牧師さんや神父にもお礼を包むようにしているようです。
神道(神式)のお布施
仏教式でいうお布施は神道(神式)では祭祀料(さいしりょう)と呼びます。
実際に手渡す際の封筒には「御礼」「御祭祀料」「御祈祷料」などと記載で問題ありません。
こちらを神社の代表である「神官」にお渡しします。
葬儀において祭祀料が発生するのは主に以下の3つになります。通夜祭(つやさい):こちらは仏教式でいう通夜に当たります。
神職が祭詞(さいし)を奏上(そうじょう:天皇に政治上のことで勅裁を仰ぐために,口頭または文書で上申することを)します。
通夜の場所は自宅や葬儀会場で執り行われ、神官が司会役を担当するので終わった際にお礼の気持ちとしてお渡しするのがよいでしょう。
葬場祭(そうじょうさい):こちらは仏式での葬儀および告別式に当たります。
故人との最後の別れを告げる儀式であり、神葬祭(神式でいうお葬式の呼称)における最大の重儀になります。
他の宗教もですがお布施の金額も葬儀が最も多くなります。
霊祭(れいさい・みたままつり):霊祭は仏教式でいう法要に当たる儀式で、十日祭、二十日祭、三十日祭、四十日祭、五十日祭が執り行われます。
一般的に、五十日祭をもって忌明けになります。
次いで百日祭、一年祭と続き、それ以降は10年ごとに行われます。
例えば十日祭は、仏教でいう初七日にあたり、10日目の「十日祭」は自宅に神職を招いてご遺族だけでなく親戚や知人、祭詞(祝詞)をあげます。
お供え物や儀式の流れはご葬儀に準じます。霊祭後には会食も行います。
神職をお招きするのは十日祭だけでこれ以降の二十日祭、三十日祭などはご遺族だけで行います。ただ、五十日祭には再度神職をお招きして執り行います。
というのも五十日祭で「忌明け」となりますので霊祭の中でも特に重要な儀式となります。
そして祭祀料(さいしりょう)の相場ですが目安としては、神主がひとりの場合20万円〜30五万円、ふたりの場合は30万円〜50万円ほどのようです。
1つのお包みにまとめてお渡しするのが良いかと思います。
そして五十日祭の祭祀料の相場は3万円~5万円のようです。また祭祀料の他に御車代、御膳料などを用意もしたほうがよいでしょう。御車代、御膳料いずれも5,000円/人程度が相場のようです。
自分の宗教や宗派が不明な場合は「自由葬」という選択肢も。。。
5.終活においては家族の意見や希望を尊重して話し合って決めること
最後に終活においてはご家族がいる場合はきちんと相談してから進めるようにしましょう。
特にご自身の葬儀や埋葬されるお墓に対してこだわりがあったり、特別な宗派、宗教の場合は事前に相談するようにしましょう。
いずれにしてもその葬儀を執り行ったり、お墓の管理をするのはご家族の方になるからです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
宗教によって考え方が違ったり、また宗派によっても作法が少し違っていたりと今まで知らなかったことも多いと思います。
ぜひご自身の葬儀をどうするのかのイメージを膨らませていただきたいのと、友人や知人の葬儀に出席する際も知っておいて損はないのでぜひ参考になればと思います。